Mixiというソーシャルネットワークが流行っている。このMixiは、登録順序によって自分のプロフィールのところにIDが付くので、自分が何番目で登録したのか分かるようになっている。Mixiに今では600万人が登録しているので、現在登録すると6000000といったIDになるはずである。今回は、このMixiを例にして、投資で勝つという事の難しさについて話したいと思う。
まず、あなたはMixiというソーシャルネットワークを知っているだろうか?私の記事をこうして読んで下さる方の多くは、恐らくMixiを知っている人も多いと思っている。そして、あなたはMixiというソーシャルネットワークに参加しているだろうか?私の記事を読んで下さる多くの方は、もしかしたら既にMixiに参加されている方ばかりかもしれない。これが投資とどういった関係があるのだろうか?今回はそこから説明したいと思う。
私がソーシャルネットワークの存在を初めて知ったのは、Orkutが出たときである。アメリカで流行しており、これは2004年2月上旬頃に友達に誘われて入る事となったのを記憶している。その頃の私は、基本的に実名登録を主としているソーシャルネットワークに抵抗を感じて、積極的に友達を誘おうとは思わなかった。しかし、あるIT系の学生団体と仲良くしていた事もあり、メーリングリストなどで常にこの手の流行の情報がやり取りされていたので誘われるのは早かった。その後2004年の2月後半になると、日本でもMixiというものが登場して、早々と友達から招待メールが送信されてきた。
私がMixiに参加した頃は、Mixiの中には数百人しかおらず、Mixiの社長やら社員やらが人集めに必死になっていた。この時は、やはりMixiの実名登録に抵抗を感じており、友達に積極的に紹介したい気持ちにはとてもならなかった。実際、友達に参加しませんかとメールを何通か送ったが、ほとんどの友達は参加しようとはしなかった。ご存知の通りに、Mixiはそれからもの凄い勢いで参加者を増やしていく。
Mixiの参加者が増えていくと、ソーシャルネットワークというものが次第に注目を集め初めて、マスコミがソーシャルネットワークを取り上げるようになってきた。ちょうどMixiの成功が見え始めた2004年夏頃から、マスコミはMixiを頻繁にメディアに登場させるようになっていた。それに従って、Mixiと類似した新たなソーシャルネットワークが次々と登場し、その都度私は招待メールを頂いて、その幾つかには登録する事になった。
私が招待を受けたキヌガサやGreeにおいても、2004年の段階ではMixiと競い合える参加者を集めていた。しかし、その後はMixiとその他のソーシャルネットワークの参加者数は拡大する一方であり、日本のソーシャルネットワークと言えばMixiと言われるほどにMixiだけが参加者数を増やした。現在、Mixiは600万人という参加者数を集めたが、かつてMixiのライバルとさえ言われたGreeは35万人に留まっている。
さて、最初の問いに話を戻す事にしよう。あなたのMixiのID番号は何番だろうか?1桁だろうか?2桁だろうか?3桁だろうか?4桁だろうか?5桁だろうか?これが何を意味するかという事は、懸命なあなたであれば既に理解している筈である。これは、ITの流行にいかに敏感で居られたかを示すひとつの指標となりうると考えている。Mixiで1桁の番号を取るためには、株式会社Mixiの社長や社員と友人関係に居なければいけなく、更に送られてきたメールを承諾し、分け分からないサイトに実名をネット上に出すという怪しい行為を行わなくてはいけない。多くの人間にとってこれはリスクある行動となる。
私がMixiに参加したのが早かったからと言って、私が「Mixiが大きく成長する企業だ」と見抜いたかと言えば、それは全く違っている。私は、ソーシャルネットワークは実名で登録するもので、今までのネットの常識から言えばあまりに危険なので、多くの友人は登録を拒むものだと思って友人の誰にも招待メールすら送らなかった。しかし、私の所にはMixi以外にも2004年だけで毎月のように何らかのソーシャルネットワークの参加を誘うメールが来て、その幾つかに私は参加した。実際、別つのソーシャルネットワークに参加する事は、実名をネットでさらすという上で、1つのリスクを伴う事になりうる。私はリスクを負いながらも、様々なSNSに参加してはみた。その他のソーシャルネットワークがより良いものである事を期待していた。
しかし、私はその他のソーシャルネットワークに参加して、Mixiよりも劣っている事を確認して、確信した事は「Mixiだけが大きく成長する」という事だった。例えば、何故Greeが成長しなかったかは単純で「Greeはレイアウトが可愛くなかった」という事と「操作がしにくかった」という点において、私は最初Greeに参加して以来、ほとんどGreeには手をつけず、Mixiばかりをやっていた。Greeは参加者数が伸びず、Mixiが参加者数を伸ばす事は、初めから勝敗が見えていた。
これは、Mixi代表の笠原氏とGree代表の田中氏の考え方の違いによるものである。Mixi代表の笠原氏は、当初から「コミュニティサイト」の構築を目指したのに対して、Greeの田中氏は、当初「個人の名詞サイト」を目指していた。結果論ではあるが、田中氏の読みは外れていたという事になる。どうして笠原氏の読みが見事に当たってMixiが流行したのに対して、田中氏の読みが外れてGreeがMixiに負けたのかの原因も考えたので、後ほど明らかにしたいと思う。
再び最初の問いに話を戻す事にしよう。「あなたのMixiのID番号は何番だろうか?」という問いで、あなたのID番号が多ければ多いほど、あなたがIT業界における情報認知度が遅いという事になる。つまりは、株式を購入する場合においても、IT業界の銘柄は全く向いておらず、買うべきではないという判断が出来ると考えている。
成功した投資家は、経済の知識がそれほどあるわけではないにせよ、特定分野については専門家以上に詳しい人が多い(内藤証券田代部長メルマガより)という。これは、業界や個別銘柄の長期性調整を分析していく上で、非常に重要な事である事は間違い無い。Mixiで最初に招待メールを送るのは株式会社Mixiの社員であるため、当然友人はIT系が多い事になり、IT系に詳しい人からMixiに加わっていく事になる。つまり、Mixiが成功するか失敗するか見極めるためにも、まずITに詳しくなければ招待メールすら来なかったと言えよう。Mixiが出てから3年を経て、50を過ぎた親父もやっとソーシャルネットワークを始めたと聞いた。
特定分野について専門家以上に詳しいという事は、つまりは周囲に居る友人と常に情報交換してそれについて興味を持てる環境があるという事である。それは例えば、英語を流暢に話す人が、外国人のネイティブスピーカーの友達が数多く居るのと同じ理由である。逆に言えば、そうした環境も無いままに、単独で専門家以上に詳しくなるという事は、ほとんどあり得ないと思った方が良い。自分が誰よりも情報に詳しく、そしてその情報を求めてくる人と常に情報交換を行っていてこそ、自分にも情報が入り込んでくるのである。しかもその情報はメディアで手に入れるものと違って、素早く、良質で、既に絞込みが行われたものである。人の紹介というのはそうした効果を持つ。友達だから「良い情報をあなたに教えよう」という訳である。
証券マンが毎日あれほど株式ばかりを見ているのに、金持ちがほとんどいないのは、証券マンというものが業界に詳しい訳でなくて、単に金持ちの為に売り買いしているからという事に過ぎないと言える。そして、サラリーマンというのも、出来る人ほど仕事に熱中する事で、他の事が見えなくなりがちである。資産家になるためには、とにかく広いアンテナが必要となろう。これは、リスクをいち早く感知する上でも非常に重要と言えよう。
もう、Mixiについて語ることは終えたので、ここで私が好きなジョージ・ソロスについて書いておこうと思う。ジョージ・ソロスは幼少時代を戦争が行われていたヨーロッパのハンガリーで過ごした。その後のソロスはイギリスに赴き、そこで最初の仕事に就くが状況はあまり良いものではなく、1956年9月(当時26歳)にはニューヨークに赴いている。ソロスがアメリカに赴いたのと前後して、1952年に結成されたECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)を母体としたEEC(欧州経済共同体)が1958年に発足し、アメリカでは欧州株がブームとなった。1959年(当時29歳)にワーサム証券に引き抜かれると、ソロスはヨーロッパ事情に詳しかった事より、ドレフュス・ファンドやJ・P・モルガンのような金融機関も,ソロスの分析レポートに基づいて投資の判断を下したとされている。
1961年(当時31歳)にはケネディ大統領により対外投資に対する利子平衡税が導入されたために、欧州株ブームの熱は一気に冷めてしまった。ソロスはワーサム証券を去り、アーノルド・S・ブレイッシュローダー証券へ。ここではアメリカの金融機関が処分したい欧州株を売り戻す仕事で業績を上げた。
ソロスの経歴自体が、ブームを察して、ブームが去ったら売ってしまうというものであり、欧州株を利用して彼が名声を上げた時に、既にその事が始まっていたように思える。彼は自分の活躍の場所を知っていたと思えるし、それを上手に利用できる事が彼の最大の能力であったように感じる。彼と共に「ソロス・ファンド・マネジメント」(後のクォンタム・ファンド)を立ち上げたジム・ロジャースは、世界中を旅する事によって視野を広げ、それを投資に活用しようと考えているようである。それは、ある時にリスクを察知する能力を格段に拡大するであろう。世界の金融市場で戦おうとするものにとって、世界を見る事は何よりも重要な事であるような気がする。
日本でMixiが会員を600万人集めて騒いでいる時に、世界ではMySpaceというソーシャルネットワークが既に1万人も集めている。そして、MySpaceというソーシャルネットワークは、Mixiと違ってYahooのようなポータルサイトに対抗するサイトを目指しているそうである。Mixiは、同じくポータルサイトを目指してニュース掲載を開始したが、それは正しい選択だったのであろうか。Mixiのコミュニティの中で音楽関係のコミュニティが圧倒的に多いというデータが出ていたが、著作権を気にしているのだろうか、音楽の新しい機能どころか、映像の新しい機能すらなかなか出てこない。
日本レベルでの競争には勝ったかもしれないが、世界レベルになると今度は社長や社員のグローバルな視点で物を見る事が問われてこようと思う。例えば、常に英語で新聞を読んでいる人と、英語が翻訳された日本語で新聞を読んでいる人の情報量を同列に比較する事は不可能である。その辺を良く理解出来る人を育てる土壌は、つまりグローバルな人材を求める土壌と言うものは、日本の会社ではまだ無いと言わざる得ない。
それは、アメリカでネット証券が流行っているのにも関わらず、野村、日興、大和などの大手証券がネット証券を1つとして買収せずにそのままイートレード証券を時価総額1兆円の企業まで成長させて、自ら強敵に育て上げてしまっている事と同じである。彼らはネット証券をそれほど重視していたとは思えない。
常に常識を打ち破っていかなければいけない。その為には、自分でそういった環境を常に用意しておかなければいけない。特に、自分の周囲の人脈やネットワークは、そうした環境を自分に用意する為に用いなくてはいけない。今回、このMixiと株式投資を考えていて思いついたのは、そうしたことだったのだと思う。
2006年12月06日
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